好きを仕事にしたいと思うのは

好きなことを仕事にできたら、こんなにいいことはありませんね。 昔の誰かの格言で、「好きでできる仕事を選びなさい。そうすれば、仕事はもはや仕事でなくなり、遊びの延長でしかなくなるだろう」というような言葉を聞いたことがあるのですが(うろ覚えです)、「遊びの延長」で生活できるほどの稼ぎがあるなら、これほどすばらしいことはありません。 しかし、こんな幸せな状況で仕事をしている人は多くないのではないのでしょうか。 多くの人は、「それほど楽しいわけじゃないけど、まあ嫌いじゃないし、それなりにやりがいもあるから、続けていかれるかな」というくらいの仕事に就いて、長く仕事をされている方が多いのではないでしょうか。 でも、その状態に満足せずに、これぞ!という仕事をどん欲に探す人も、中にはいるかもしません。 好きを仕事にしたい、と思えるのは、幸せなことです。その人には自分の夢を追いかけようというエネルギーがあるからです。 それから、家族が病気であったり、経済的な事情で、夢を追うことができない人もいます。 そういうつらい状態ではないということも、幸運なことです。 小説家になりたいけど、なかなか文学賞を取れないので校正の仕事をする、というように、好きな仕事そのものズバリでなくとも、好きな仕事の周辺の専門職につくこともあるでしょう。 周辺の仕事をすれば、ど真ん中ストライクの仕事に関しての情報もいろいろ入ってきます。 小説家の例なら、どういう作品が、なんという名前の文学賞をとっているか、という情報が入ってきます。 75歳で芥川賞をとって一躍有名になった黒田夏子さんは、長らくフリーランスで校正の仕事をされていました。 彼女の作品は、きわめて独特の言語センスを持っていて、必ずしも読みやすいとはいえない小説です。 しかし、彼女は自分の作品を評価してもらえそうな文学賞を的確に選び、その結果、日本最高峰の賞である芥川賞に輝いたのです。 そのためには、長年の校正者としての知識がきっと役に立ったのだと思います。

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